運動時、安静時にもすね(脛骨)の内1/3下に疼痛があり、筋肉痛というよりは骨自体に痛みが感じられます(独特の痛み)。
ですので一度シンスプリントになった方は「あ、これはシンスプリントの痛みだ」と判別ができるかもしれません。
病態とメカニズムの理解
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すねの内側下1/3あたりに沿った鈍痛・圧痛
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走行開始時やジャンプ後の痛み
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痛みが強くなると歩行でも不快感
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腫れや熱感を伴うことも
初期は「運動後の違和感」程度ですが、進行すると常に痛むようになり、場合によっては疲労骨折との鑑別が必要になります。
シンスプリントの主な原因は、下腿の筋群(特にヒラメ筋・後脛骨筋)の過剰使用と牽引ストレスです。
これらの筋が脛骨内側に付着しているため、ランニングやジャンプなどの反復動作によって骨膜が引っ張られ、炎症が生じます。
発症を促す要因として、
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硬い路面でのランニング
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扁平足(過回内)によるアライメント不良
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シューズのクッション性低下
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急激な運動量の増加
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下腿の筋柔軟性の低下(特にふくらはぎや足底)
などが挙げられます。
特に足の着地時に内側へ倒れ込む(オーバープロネーション)動作は、脛骨内側への牽引力を強め、発症リスクを高めます。
シンスプリントのコンディショニング
初期段階では、患部への局所的なケア(超音波、ハイボルト、鍼灸など)が中心となります。痛みがある場合は、まず運動量の調整と安静が基本です。
そのうえで、再発防止のための姿勢と筋バランスの再構築が重要です。
① リリースとストレッチ
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ヒラメ筋・腓腹筋のリリース(フォームローラーや手技)
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後脛骨筋・長趾屈筋・足底筋膜のストレッチ
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足首の背屈可動域の確保
これらにより、脛骨内側への牽引ストレスを軽減します。
② アライメント修正
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足部・足趾の感覚と機能改善や裸足トレーニングを併用
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体幹・股関節の安定化(中殿筋や腸腰筋の強化)
→ 下肢の力の伝達を正しいラインに導くことで、すねの負担を分散します。
③ 負荷管理
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距離・時間・頻度を徐々に増やす
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硬い路面を避け、クッション性のある靴を選ぶ
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練習後のセルフケアや足趾周りの機能低下予防を習慣化
まとめ
腸脛靭帯炎は「膝の外側の炎症」として現れますが、その原因は膝単独ではなく、股関節や骨盤、下肢全体の動作連鎖の中にあります。
ランニングは全身運動です。
「局所を見る」だけでなく、「全体の動きの調和を取り戻す」ことが、障害の予防にも、さらなるパフォーマンス向上にもつながります。
Author:行方悟郎 Goro NAMEKATA
中学校から本格的に陸上競技(長距離)を始め、大学では箱根駅伝をめざすも、足のケガ・手術(梨状筋症候群)もあり、伸び悩み挫折を味わう。
大学卒業後は一旦ランニングから身をおくが、再び「陸上競技、マラソンで自分の経験を活かしたい」とトレーナー・鍼灸師、コーチ、そしてランナーへ
PB/Half1:22:48 Full2:59:37
飛騨高山ウルトラマラソン100㎞完走8回
チャレンジ富士五湖ウルトラマラソン120㎞完走
◆鍼灸師
◆(公)日本陸上競技連盟B級トレーナー
◆ピラティスリーダーシップコンセプトマットⅠⅡ修了
◆認定心理士
◆習志野高-流通経済大学-トライデント医療看護専門学校

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