『腸脛靭帯炎のコンディショニング』

「腸脛靭帯炎(ランナーズニー)」と呼ばれる膝の外側の痛みで来院される方は、当院でも非常に多く見られます。
一度痛みが治まっても、走り出して2~3kmほどで再発するというケースが典型的です。

市民ランナー(ビギナー)から実業団選手まで、幅広い層に起こり得る症状です。
最近では、ご自身でネットなどで調べた上で「腸脛靭帯炎だと思うんです」とおっしゃる方も少なくありません。

 

病態とメカニズムの理解

腸脛靭帯炎は、腸脛靭帯およびその内側の滑液包が大腿骨外側上顆と過度に擦れ合うことによって炎症が生じる障害です。
簡単にいえば、「膝の外側で腸脛靭帯が過剰に擦れて炎症を起こしている」状態です。

したがって、改善の第一歩は「過度に擦れない状態にすること」の理解から始まります。

ランニングフォームを観察すると、患側の脚ではテイクオフ~フォロースルー期に股関節が過度に内旋していることが多く、結果的に腸脛靭帯が引き伸ばされる方向へ動いています。

これは、股関節内転筋群が伸展運動時に代償している(=内転筋群のタイトネスがある)ことが背景にあると考えられます。


さらに、下腿(スネ)の過度な内旋も重要な要因です。
つまり「股関節と下腿の内旋」が重なり、膝外側にストレスが集中している状態といえます。

 

とはいえ、「走行中に下腿を内旋させないようにしよう」と意識的にフォームを変えるのは現実的ではありません。
走行フォームは身体全体の連動で成り立っており、部分的な修正はかえって全体のバランスを崩すことにもなります。

 

したがって、痛みの根本原因は動作の連鎖の中でどこかに歪みが生じ、着地衝撃が特定の部位に集中しているということになります。
この「動作上の偏り」を見極めることが、エクササイズ選定や再発防止の鍵となります。

腸脛靭帯炎のコンディショニング

初期段階では、患部への局所的なケア(超音波、ハイボルト、鍼灸など)が中心となります。
同時に、腸脛靭帯そのものだけでなく、隣接する筋群(大腿筋膜張筋・中臀筋・外側広筋)へのアプローチも欠かせません。

 

要点としては、

  • 腸脛靭帯が硬くなりすぎないようにする

  • 隣接する筋群(大腿筋膜張筋・殿筋群・外側広筋)も過緊張を起こさないようにする
    という2点が基本です。
    そのための柔軟性・筋出力トレーニングを並行して行います。

 

しかし、慢性化しているケースではこれだけでは不十分です。
「硬くなる・擦れる」という動作パターン自体を修正しなければ、症状は再発しやすくなります。

そこで重要なのが、膝周囲だけに注目せず、骨盤〜股関節の協調運動を回復させることです。
このアプローチを取り入れることで、根本的な改善に近づきます。

 

当院の臨床では、特にビギナーランナーにおいて、全身の機能改善を重視したプログラムを行うことで再発が少ない傾向が見られます。 

まとめ

腸脛靭帯炎は「膝の外側の炎症」として現れますが、その原因は膝単独ではなく、股関節や骨盤、下肢全体の動作連鎖の中にあります。
ランニングは全身運動です。
「局所を見る」だけでなく、「全体の動きの調和を取り戻す」ことが、障害の予防にも、さらなるパフォーマンス向上にもつながります。

 



Author:行方悟郎 Goro NAMEKATA 

 

私は中学1年生から陸上競技を始め、大学4年生の卒業まで10年間の陸上競技生活をおくりました。 当時から様々なケガをしてしまい、箱根駅伝出場を目指していた大学3年の秋には坐骨神経痛(梨状筋症候群)を発症しました。 

当時のスポーツ整形の医師からは「完治は難しいかも」と言われていましたが、どうしても復帰したいたい一心で手術を受けました。 手術その後のリハビリ、トレーニングを続け、復帰はしたのですが、結果的に最後まで痛みや違和感はなくなりませんでした。

 

同じように多くの人が ケガが治ったと思って走ったら、また痛くなった、怖くて長く走れない、走って良いのかわからない。自分のケガ(身体)には何が必要なのかわからない、走ってもすぐ疲れてしまう、思うように走れない。という状況に少なからずなっていると感じます。

 

私は「いつか上記の経験(失敗)や想いを仕事に活かしたい」と考え、はり師、きゅう師などの資格を取得しました。また様々な現場(部活動、大会帯同、接骨院、病院、フィットネスクラブなど)でこれらのことを実践してまいりました。 そして「本当に自分が伝えたい、提供したい治療やスタイル」を突き詰めた結果、現在のスタイル(リライズ鍼灸院)になりました。

 

◆鍼灸師
◆(公)日本陸上競技連盟B級トレーナー
◆ピラティスリーダーシップコンセプトマットⅠⅡ修了

◆認定心理士

◆習志野高-流通経済大学-トライデント医療看護専門学校

PB/Half1:22:48 Full2:59:37  
飛騨高山ウルトラマラソン100㎞完走8回

チャレンジ富士五湖ウルトラマラソン120㎞完走